ちょうどパンデミックの前ぐらいだったでしょうか、バンコクのレストランシーンが大変面白いと耳にするようになりました。なかなかタイに行く機会がなく、行きたいお店リストばかりが長くなっていましたが、ようやくバンコクの街中でゆっくり食事をする機会が巡ってきました。リサーチのおかげでとても楽しいレストラン体験ができたので、今日はその時の振り返りです。
一人旅の強い味方、テイスティングメニュー
気楽で身軽な一人旅ですが、残念なのはお食事の時にたくさんの種類を食べられないこと!もちろん、1品だけのお料理をしっかり味わうのも楽しいのですが、せっかく旅行に行くならその土地らしいお料理を色々食べてみたいもの。
そんな時に解決策(?)として思いついたのが、ファインダイニングに行き、テイスティングメニューをいただくことです。私もここ数年で知った楽しみなのですが、最近では小皿でたくさんのお料理をいただけるコース料理が流行っていますよね。先日行った滋賀のSOWERなどは、まさにそのスタイルです。
▼SOWERのお料理についてはこちら
こういったメニューを提供するレストランは、多くの場合テイスティングメニューのみで営業していることが多く、一人で行ったとしても問題なく楽しめそうだと思っていたのです。もちろんお値段は高くなりますが、ゆっくり優雅に食事ができて、お料理の説明も丁寧にしてもらえる上、その国の一流シェフが工夫を凝らしたお料理をいただけるのなら、これは奮発する価値が大いにあると思います。というわけで、良さそうなお店を事前に調べて予約を入れておりました。
Khaan(モダンタイ料理)
今回選んだレストランは、泊まっていたホテルから徒歩圏内だった、モダンタイ料理のKhaan(カーン)です。こちらは2023年にオープンしたばかり、ミシュランのヤング・シェフ・アワードを受賞した天才女性シェフのお店とのこと。期待が高まります。オープンしたばかりでまだ星がないからか、テイスティングメニューの価格も他のミシュランレストランと比べるとほんの少し抑えめでした。
Khaan
住所:14/3 Soi Somkid Lumphini Pathumwan
TEL:+66 92 441 6547
営業時間:17:00〜翌1:00(最終入店21:30)
定休日:月曜日
公式HP:https://www.khaanbkk.com/
★公式HP(英語)、Klook・KKday(日本語)より予約可
★ドレスコード:スマートカジュアル
★BTSチットロム駅 徒歩9分程度
予約は公式サイトから、ネットでも可能です。前金で2,000THBを支払う仕組みなので、確実に行ける日程で予約することをお勧めします。後から気づきましたがKKdayやKlookからでも予約できるようで、こちらの方が若干お安くなるようでした。
レストラン周辺には、立派なコンドミニアムが立ち並んでいました。お店はおしゃれなカフェやレストランが集まる一角にあります。向かい側には、まもなくオープン予定のアマン・ナイラート・バンコクが。もうオープンしているのかと思いきや、先ほど確認してみたところまだのようです。いつか富豪になったら泊まってみたい(実現可能性の低さ…)。
佇まいが良いですね!白、紫、ゴールドの組み合わせが洗練されています。
店内はクラシックなインテリアです。角の席で落ち着きます。
こちらのレストランのテーマは、「地産地消」、「ストリートフードから宮廷料理まで」、「タイの精神を宿したラグジュアリーレストラン」などなど。ローカルの食材を使った伝統的なタイ料理をモダンに昇華したもの、ということでしょうかね。
コースは11皿のテイスティングメニューのみで、3,850THBです*1。ワインのペアリングは4杯と6杯の2種類で、この他にお茶のペアリングコースもありました*2。私は残念ながら飲めませんので、炭酸水を頼みました。
早速前菜のお出ましです!この時点でもう面白いです。また、何やらお茶をベースにしたドリンクも出してくださいました。ジャスミンティがベースで、そこにライムの香りが加わって爽やかです。
手前の卵の中には、カレー風味の蟹と卵!つまりプーパッポンカレーですよね。こちらは小さなスプーンでいただきます。一口目から驚きがあり、お味も美味しくてにっこり。
残りは全てフィンガーフードです。手前から順番にお召し上がりくださいね、とのこと。どれも美味しかったのですが、こちらの前菜に関してはメニューに食材が記載されておらず、全然思い出せません!説明を聞きながらメモを取るべきでした。海苔巻きのようなものの上にウニが載っていたことだけは鮮明に記憶しています。
続いて海老がやってきました。セビーチェのような仕立てで、酸味とスパイシーさが絶妙です。まるで芸術品のような海老の身を崩すと、中から現れるのはココナッツです。
一緒に添えらえた桜エビのクラッカーは、最後にお召し上がりくださいとのこと。生地にもエビのすり身を練り込んであるようで、すごく高級なえびせんという感じでした。サクサクで美味しい!
続いてやってきたのは、ちまきです。
包んで蒸した餅米に、蟹味噌のソースをつけていただきます。おいし〜!
運んできてくれたお姉さんが「日本のおにぎりのようですよね」と説明してくれました。これはおにぎりと言うより、ちまき!ちまきというお料理があるんです!と熱弁をふるいたい気持ちでいっぱいでしたが、CHI! MA! KI! と言ったところで困惑されちゃうね…と思い、諦めました。
こちらは赤米と白米で作ったライスペーパー。目の前でソースをかけてくれます。ライスペーパーと言っても生春巻に使われるようなものより少し厚めで、もちもちとした食感です。このソースの甘味と酸味、スパイシーさの加減が絶妙で、いかにもタイらしい味わい。
ライスペーパーをめくると、中には色とりどりのお野菜が。目にも美味しい感じですね。
お次は牡蠣とオイスターマッシュルームを使った一皿です。牡蠣とココナッツの泡が入った器に、目の前で熱々のスープを注いでもらえます。酸味の強いスープと牡蠣の旨み、そして泡のテクスチャーが合わさって、こちらも大変美味しい。これは結構スパイシーです。
左上にあるのは、牡蠣の殻に入ったクリーム。途中でこのクリームを加えると一気に濃厚さが増し、これもまた美味しい!
ここで、お口直しにトマトのグラニテがやってきました。目の前でトマト味の氷をシェイブしてくれます。グラニテの下にはシート状のゼリーがあり、これもまた面白い食感。グラニテと言っても甘さを押し出した味ではなく、トマトの酸味を凝縮したようが仕上がりです。真っ赤なデザートに真っ赤な器というのも、インパクトがあります。
お魚料理は、その時々の新鮮な白身魚が主役です。一見シンプルな切り身なのかと思いきや、まるでパズルのピースのように色々な部位を組み合わせてブロック状にしたものでした。中にはタイのフレッシュなハーブがたくさん使われています。
全て崩して、よく混ぜてお召し上がりください…との指示通り、一通り崩して食べてみました。ハーブの豊かな香りが口の中に広がり、さっぱりと美味しくいただけます。
最後は北インド風のカレー。棒状になっているのは、少しクリスピーな食感のあるラムです。
こちらも、目の前でカレーを注いでもらえます。これも全て混ぜて食べてみてくださいとのことで、しっかり混ぜていただきました。全て混ぜると、ビリヤニのような仕上がりになります。ほろほろと崩れるラムと、スパイシーなカレー、そして時々現れる甘酸っぱいピクルスが良いアクセントになり、あっという間に完食。
デザートの1皿目は、パイナップルのカードとバジルソース。これがまた素晴らしい組み合わせで、カレーを食べた口をさっぱりさせてくれます。火山のような器も面白いですね。
デザート2皿目は、かぼちゃ尽くし。お席までコンロを持ってきてくれて、その場でかぼちゃのコンポートをフランベしてくれます。一気に香ばしい香りが広がります。
かぼちゃのアイスクリームとクリーム、スポンジケーキ、そしてフランベ仕立てのコンポートです。どれも優しい甘さ。
最後はお茶菓子4種。これも面白い器でやってきました。左上から時計回りに、黒胡麻のクッキー、パンダンのケーキ、ライム風味のダークチョコレート、マシュマロです。いずれも手でさっとつまめるサイズ。面白かったのはムチムチとした食感のパンダンのケーキと、口に入れた瞬間パリッと割れて、中からライムの果汁が飛び出してくれるダークチョコレートでした。
たっぷり2時間以上かけて色々なメニューをいただいて、お腹いっぱいになりました!かなりボリュームがあるので、ここに行く時にはお腹をぺこぺこにしていくことをお勧めします。また、スパイシーなお料理もいくつかあるので、辛いものが苦手な人は事前に伝えておいた方が良さそうです。私は辛いものも大好きなので、どれも大変美味しくいただきました。
お会計をお願いしようとしたら、ずっとテーブルを気にかけてくれたホールスタッフの方が、お土産ですよと紙袋を渡してくれました。気になって早速開けてみたら、中にはパンプキンジャムとスパイシーなソースの2種類が!これで日本に帰っても、タイの味を楽しめますね。ありがたく受け取りました。
タイらしさを表現する情熱的で面白いお料理の数々と、親切で優しいスタッフの皆さんのおかげで、とても良いレストラン体験ができました。きっとこのレストランも、すぐにミシュランの星が付くのではないでしょうか。またぜひ再訪したい