2026年1月の年始、新潟・南魚沼にある里山十帖を3年ぶりに再訪しました。今回は2泊の滞在中、レストラン「早苗饗(さなぶり)」でディナーを2回、朝食を2回、そしてお昼に軽食を1回いただいています。
里山十帖の食の中核を担う早苗饗は、雪国の風土や文化、発酵・保存食の知恵を料理で表現するローカル・ガストロノミーのレストラン。2020年にはミシュラン一つ星を獲得し、国内外から高い評価を受けています。
本記事では、写真点数の多いディナーを中心に、2晩でまったく異なる内容だったコースの印象や、朝食・軽食についても簡潔にご紹介します。
✔︎ この記事はこんな人におすすめ
- 里山十帖のレストラン「早苗饗」の食事内容を、写真多めで詳しく知りたい人
- ローカル・ガストロノミーに興味がある人
- 連泊時のディナーの様子を知りたい人
- 朝食・軽食の違いまで含めて検討したい人
▼ 里山十帖の宿泊レビューはこちら
里山十帖を再訪|ミシュラン1キーの宿で過ごす冬の2泊(設備・客室編)

レストラン「早苗饗」とは

里山十帖に滞在するなら、食事の時間は単なる「夕食」ではなく、旅の大きな目的のひとつになります。
館内のレストラン、早苗饗(さなぶり)で提供される料理の軸にあるのは、新潟・南魚沼という雪国の風土。野菜や山菜、発酵食品を主役にして、和食をベースにハーブや香辛料を使い、素材の味を幾重にも重ねていくスタイルが特徴です。米どころの魚沼らしく、土鍋で炊き上げたご飯もご馳走の一つ。

このレストランを率いるのが、シェフ・桑木野恵子氏。シェフ自ら説明に来てくださることも多々あったのですが、達人の雰囲気を纏った、凛とした素敵な方です。地域に根ざした食材や発酵文化を大切にするその姿勢は高く評価され、2020年にはミシュラン一つ星を獲得。現在も国内外のガストロノミーガイドでたびたび紹介されています。
ミシュランの星付きレストランという言葉から連想されるであろう華やかさを想像して訪れると、最初は「あれ?思ったより地味だな?」と思うかもしれません。しかし、雪国の食文化に関する説明を聞きながら食べ進めていくうち、そのブレない哲学と滋味深い味わいに、しみじみと「良いものをいただいた」という気持ちになれると思います。
連泊する場合、2晩のメニューは完全に違うものになりますよ。
里山十帖でいただく、冬のご馳走
日本有数の豪雪地帯である南魚沼は、清水トンネルが開通するまで、冬は雪に閉ざされていたそうです。人や物の往来がなくなるこの時期に備えて、人々はたくさんの食糧を干し、漬け、発酵させて備蓄していました。天然の冷蔵庫である雪室(ゆきむろ)も、重要な役割を果たしていたのだとか。

実は前回も、この地に来たのは1月で、その際には里山十帖で実際に使われている雪室を見せていただきました。雪室の中は温度と湿度が一定で、中で保存した食材の鮮度を保ってくれる上、野菜の糖度が増すこともあるのだそう。実際に雪室で保存した野菜をいただいて、その美味しさにびっくりしたことを覚えています。
季節ごとに旬の食材を駆使して提供される里山十帖のディナーですが、冬はこの雪室で保存された食材や発酵食品が大活躍。北国の知恵が詰まった献立を、今回も楽しみにしていました。なお、しっかりお肉を食べたい人向けに、追加メニューも用意されています。
追加メニュー(いずれも税込価格)
にいがた和牛しゃぶしゃぶ:8,800円
にいがた和牛・自家製ローストビーフ:8,800円
村上牛A4ヒレステーキ:8,800円
「常夜鍋」:6,600円
早苗饗|冬のディナー(1日目)

前回のメニューは1枚でしたが、今回はしっかりした冊子が置いてありました。それぞれの食材やお料理に関する説明が丁寧に書かれているので、これを確認しながら味わうと楽しみが倍増!

早速1皿目です。自然薯と丸麦、菊芋の味噌漬け。白いメレンゲのようなものは、自然薯と卵でできたスフレだそう。

一口目から、唸る美味しさ。食感も味もさまざまな食材が重なっていて、それぞれ組み合わせて食べるのが楽しい。自然薯は長く寒い冬を越すための貴重な栄養源だったそうです。

2皿目は糠で漬けた鰤と、雪室の野菜。鰤ももちろん美味しいのですが、野菜の味が驚くほど濃く、鰤に負けない存在感です。

3皿目の主役は、貴重な無農薬蓮根。肥沃な魚沼の土地では、米だけでなく蓮根の栽培も盛んだったそうです。

餅米を乳酸発酵させた生地が詰まっています。この蓮根は氷点下ぎりぎりの沼に腰まで浸かって収穫するそうで、その過酷さを想像するだけでありがたさに頭が下がります。本当に美味しい蓮根でした。

ここで、追加メニューの常夜鍋のセットもやってきました。夫が追加してくれていたようです。

お鍋が沸いたら、お肉と白菜、舞茸を入れて、さっぱりとポン酢やごま油塩でいただきます。他のお料理を食べ進めながら、しばし待機。

4皿目は、猪の干し肉と大根の炊き合わせ。塩とスパイスをすり込んで作った干し肉を2日間かけて炊いているそうで、ほろほろと柔らかな食感の中に、お肉の濃い味が感じられます。一緒に炊かれた大根も美味しい!

5皿目は新潟の郷土料理、あんぼ。長野のおやきも有名ですが、おやきは小麦粉、あんぼは米粉で作るのだそう。
こちらのあんぼは米粉と里芋で作ったもちもちとした生地で、一つには糠につけた鰯のあん、もう一つはジビエのあんが入っていました。上に載っていたきのこも実に美味です。

鍋も食べ進めていきます。美味しくて忙しい!

と、ここで登場するのが煮えばなのお米。まだ中にうっすら芯が残り、少し水分も多い状態です。お米本来の甘い香りと、いわゆるアルデンテの食感に「お米ってこんなに美味しいんだ!」と驚きます。
土鍋のご飯自体は、この後少し蒸らして炊き上がりを待つことなります。

6皿目は、酒粕でじっくり煮込んだ黄金豚と根菜です。左側は自家製の蒟蒻で、これもむっちりした食感がとても美味しかったです。酒粕は新潟を代表する銘酒、八海山のもの。優しくまろやかなお味でした。

締めにしてメインディッシュとも言える、炊きたてのご飯とおかず。お肉は鴨です。お味噌汁もお漬物も当然のようにおいしくて、ご飯が進みます。ご飯が食べ切れない場合は、夜食用のおにぎりにしてもらえますよ。

最後にはデザートも。左は紅茶の琥珀糖といちじく、右はごまと海苔のワッフルに、烏龍茶のアイスクリームを載せたもの。ハーブティと共にいただきました。
初日は追加メニューもお願いしていたので、ボリュームもたっぷり。来て良かったと思える、大満足のコースでした。
早苗饗|冬のディナー(2日目)
1日目とは全く異なる2日目のメニュー。メニュー冊子の内容も変わっていました。

1皿目は鴨むかご飯。冬の雪国では鴨猟が重要な生業だったそうで、今でも当時と変わらず、鉄砲を使わない網猟を行っているそうです。栄養たっぷりのむかごと合わせたご飯は、いかにも元気になりそう深みのあるお味。添えられているのはごぼうの梅煮です。

2皿目は、春のぜんまい、夏のまたたび、秋の山胡桃、冬の切り干し大根を使って、春夏秋冬を表現した一皿。いずれも里山十帖で収穫され、保存されていた食材です。メジマグロは炙ってあり、これがまた香りも食感も異なる他の食材とよく合います。
雪深いこの地では、当然冬野菜の収穫も望めません。北国の保存食の知恵が詰まったお料理は、噛めば噛むほどじわじわと美味しさが体に染み込んでくるようです。

3皿目は、佐渡のあわびと飯寿司(いずし)。
飯寿司は蕪といわしを乳酸発酵させたもの。あわびはフライにしてあり、一口目を口に入れた瞬間には「これはフライではなく普通に食べたかったかも?」と思ったのですが、次に飯寿司を食べて納得。乳酸発酵した飯寿司のパワーが強いので、この味と合わせるならフライの方が良いのだと思いました。2つ合わせるとパワーが倍増。

4皿目は野沢菜が主役。野沢菜と言うと長野が思い浮かびますが、実は魚沼でも古くから野沢菜が育てられてきたのだそう。これも、もちろん里山十帖で漬けたものです。漢方の食材でもあるツルニンジンやきのこといただくと、体が芯から温まります。

5皿目は、一見するとずわい蟹が目立ちますが、実は主役は豆と雑穀。見たこともない美味しいお豆がたくさん入っていました。このエリアでは豆や野菜の種の自家採種が行われているそうで、少しずつ品種の異なる、名もなき地豆がたくさんあるのだそうです。

この日のお肉料理は猪。柔らかく煮込まれたお肉にはまったく癖がなく、深みのある美味しさ。添えられたお豆と一緒にいただきます。
新潟にも古くからマタギ文化があり、かつては熊や兎、カモシカなどを獲って冬を越したのだそうです。本来、猪は雪に弱く、豪雪地帯には生息していなかったそうですが、気候変動や里山の荒廃の影響で、最近では生息域が広がっているのだそうです。

お肉と一緒に出てきたのは、たっぷりの大根サラダ。こちらも雪室で保存されていたかおかげか味が濃く、シャキシャキした食感と甘味がたまりません。しっかり濃い味のお肉とよく合いました。

最後はまた、炊きたてのご飯です。ピカピカの白米の輝き、写真ではなかなか伝えきれないのが悔しいほど。

ご飯のおともに、お肉と山菜。

お魚は鰆だったでしょうか…ちょっと記憶が曖昧ですが、どれもご飯が進むおかずばかりです。

デザートは洋梨をあんに仕立てたおしるこ。上にかかっているのはカシューナッツのパウダー。お餅の美味しさはもちろんのこと、洋梨のあんが素晴らしくて、最後までうっとりしながらぺろりと完食でした。
早苗饗|朝食と軽食
早苗饗の朝食

起承転結を感じるディナーとは雰囲気がガラリと変わり、素朴でありながら丁寧に造られた和のおかずを味わえる、里山十帖の朝食。おかずは日替わりだそうです。





乾物や雪室の野菜がふんだんに使われたおかずは、どれもほっとするようなちょうどよいお味です。

汁物は2日ともきのこ汁でした。旨味たっぷりで、体がしっかり温まります。


お米は白米、玄米のうち好きな方を選べます。私達は1回目を玄米、2回目を白米にしました。ご飯と卵はおかわりもできます。


2日目のお昼ご飯、3日目の朝ごはんは個室に案内していただけました。

3日目の朝食はこちら。おかずの内容が少し違うのがおわかりいただけるかと思います。毎日こんなご飯を食べていたら、健康になれそうですね。
早苗饗の軽食
連泊の場合、事前にお願いしておけばお昼の軽食を準備していただけます。宿でゆっくりするつもりだったので、我々もお願いをしていました。

この日はわかめそば。あっさりメニューでしたが、朝ごはんをしっかり食べた後だったのでちょうど良かったです。

ちなみに、3年前にお願いした際にはサンドイッチが出てきました。たっぷり具材が入っていて、これもとても美味しかった記憶があります。
まとめ|早苗饗は雪国の食文化体験そのもの

里山十帖のレストラン「早苗饗」での食事は、雪国・南魚沼の風土や暮らしを、時間をかけて咀嚼するような体験でした。発酵や保存食、雪室といったこの土地ならではの知恵が、一皿一皿にぎゅっと詰まっていて、食べ進めるほどに満足感が増していきます。
連泊することで、2晩まったく異なるディナーを味わえたのも印象的でした。食材だけでなく、構成や物語性までもが変わり、「同じコースが続く」という感覚はありません。朝食や軽食もまた、毎日食べたくなるような安心感のある味わいです。
ミシュラン一つ星という評価は確かに目を引きますが、実際に体験すると、それ以上に「ここでしか食べられない理由」がはっきりと伝わってきます。食を目的に再訪したくなる、そんなレストランだと改めて感じました。今度はぜひ、フレッシュな山菜を味わえる春、新米の美味しい秋などにも再訪してみたいところです。
里山十帖の料金と口コミをチェック
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