サマルカンドの名所を回るスタンダードウォーキングツアー、最後にシャーヒ・ズィンダ廟群についても書いておきます。ツアーではビビハニム・モスク→シャーヒ・ズィンダ廟群→グル・アミール→レギスタン広場の順に回ったのですが、ここはあまりに良かったので、サマルカンド3日目の朝にもう一度行ってみたほど。
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元々この夏ウズベキスタンに行くことにしたのは、プロフを食べたかったのもありますが、いろいろな方の旅行チャンネルでシャーヒ・ズィンダ廟群の光景を見たことも理由の一つでした。ここは廟群、すなわちお墓の集まりなのですが、これぞサマルカンド・ブルーという青いタイルの美しい廟が建ち並ぶ光景にすっかり魅了されてしまったのです。
実際にこの目で見て、「ここに来て本当に良かった」と思いました。よく「ナポリを見てから死ね」などと言いますが、私はこのシャーヒ・ズィンダ廟群も一見の価値があると思いましたよ!
シャーヒ・ズィンダ廟群
ビビハニム・モスクからシャーヒ・ズィンダ廟群までは、歩いて10分程度です。Googleマップだととんでもない遠回りルートが出てきますが、シャーヒ・ズィンダ通りを渡れる陸橋があるので、そこを歩けばそんなに遠くありません。
入口が見えてきました!建物の前には何やら遺跡のようなものがあったのですが、ガイドのアミールさんによると「お墓に行く前に、手や足を洗うところです」とのこと。日本でも神社に行くときに手を洗いますよね?と言われ、よくご存知ですね!となりました。
スカーフが必要かと思って持参しましたが、髪の毛を覆う必要はないとのこと。ただ、やはりお墓なので露出度が高い服装は控えた方が良さそうです。
入場料を払って中に入ると、まず左側にこじんまりとした美しいモスクがあります。ここはティムールの乳母、ウジャナイのための廟だそうで、今は女性のためのモスクになっています。女性だけのためのモスクというのは非常に少ないのだそうです。
とても繊細で美しい装飾の廟でした。アミールさんにどのように振る舞えば良いか尋ねて、しばしお祈りしました。
モスクを出ると、廟群へと続く階段があります。階段の先のアーチを抜けると、青い廟群がずらりと並んでいるという、大変ドラマティックな作りです。この階段は「天国への階段」と呼ばれ、段数を数えながら上り、帰りに下った時も数が同じであれば天国に行けると言われているそうです。アミールさんがにこやかに「○○段です!さあ数えて上りましょう!」と宣言するので、段数言うんかい!とずっこけそうになりました。これから訪れる方のために段数は伏せておきますね…
右側の写真は、階段の下にある礼拝スペース。暑いときにはこちらを利用するそうです。
さあ、いよいよ廟群へ…!建ち並ぶさまざまな青い廟に、思わず「わあ」と声が出ます。
シャーヒ・ズィンダ廟群は丘の上にあるので、左側の階段を上がると、サマルカンドの街を見下ろすこともできます。真正面に見えるのはビビハニム・モスクです。ここから見る夕日に照らされた街も、とても美しいのだそうです。
いつまでも眺めていられる、さまざまな青い廟たち。
つい10年ほど前までは剥離したタイルも多く、全体的に埃っぽい雰囲気だったそうですが、コツコツと修復作業を続けた結果、素晴らしく美しい光景が戻ってきたのだそうです。
なんという緻密さ。真っ青な空に負けない存在感です。
シャーヒ・ズィンダ廟群には、かつて40以上の廟があったそうですが、現存するのは14棟のみとのこと。この3倍の規模だったなんて、驚きです。
廟の中もそれぞれに美しくて、ため息ものです。最も美しいと言われている左のシャーディムルク・アカ廟は、ティムールの姪の廟。右はシリンベク・アカ廟といい、ティムールの妹の廟だそうです。
修復作業中の職人さんたちもお見かけしました。暑い中大変なお仕事だと思いますが、自分たちの仕事が後世に残るなんて、とても素敵です。
この子も記念撮影。
細い路地の左右にぎっしりと廟が建っているので、前を見ても後ろを見ても飽きることがありません。
誰が埋葬されているのかわからない廟もあり、そういった無名の廟の内部は簡素だったりします。
一番奥に到達しました。
一番奥のエリアは、3つの廟に囲まれています。左がティムールの妃の廟であるトゥマン・アカ廟、正面はイスラム教指導者の名前にちなんだ廟で、右はまたティムールの別の妃の廟だそうです。妻同士が向かい合って眠っているとは…
こちらはトゥマン・アカ廟の内部。青とゴールドの組み合わせも素敵ですが、この緑のタイルとの組み合わせもとても美しいですね。
それぞれの廟には木の扉が取り付けられているのですが、この扉の細工も実に見事です。
入れないところには鍵がかかっていますが、この細工を見ているだけで楽しい。
預言者ムハンマドのいとこである、クサム・イブン・アッバースの霊廟も見てみましょう。
入口には「ムハンマドは言った、クサム・イブン・アッバースと私はこの上なく似ていると」と書かれています。アミールさんが、この方にまつわる伝説を教えてくれました。
「7世紀、クサム・イブン・アッバースは布教のためにこの地を訪れました。当時、この辺りの人々が信仰していたのはゾロアスター教。クサムはここで礼拝中にゾロアスター教徒によって首を刎ねられましたが、そのまま礼拝を終えると自らの首を抱えて悠然と地下に入って行きました。彼は地下の楽園の森で永遠の命を手に入れ、今も生きていると伝えられています。この伝説にちなみ、廟群はタジク語で『生ける王』を意味するシャーヒ・ズィンダと呼ばれるようになりました。」
ゾロアスター教!あれですね!火を崇拝するペルシアの!と、突然記憶の蓋が開きました。そうか、ここはペルシアのすぐ近くではないですか…ここにもゾロアスター教が広がっていたのですね。こうしてふとした瞬間に世界史の記憶を取り戻すと、より一層興味深く楽しめますね。なお、クサムはイスラム教世界が危機に陥ったとき、救世主として現れると信じられているのそうです。
この建物には、クサムの墓とともにモスクが併設されています。
ちょうど初日にここを訪れたら、礼拝のタイミングでした。高いドームにコーランが響き、たくさんの地元の方が礼拝する光景を目にすることができました。
こちらも美しい天井です。地元の方が礼拝に通うところだからか、ここだけは冷房もついていて、少し涼しかったです。
来た道を戻って、再び入口へ。2回来ても、まだ名残惜しくて何度も振り返りました。またいつか行けますように。
初日の帰り際には、お葬式の行列も目にしました。棺は男性たちが担いでいたのですが、その人波を見るや否やガイドのアミールさんもそこに合流し、しばらく棺を担ぐのを手伝っていました。見かけた人が少しずつ手伝う風習があるのだそうです。
2回目の訪問時には、猫ちゃんにも会いました。暑いので日中はみんな日陰でのんびりしていますね。達者で暮らしてね。
ハズラティヒズル・モスク
シャーヒ・ズィンダ廟群のある丘とシヨブ・バザールの間にある大通りには、このような陸橋がかかっています。このすぐ近くにあるのが、カリモフ初代大統領の墓があるハズラティヒズル・モスクです。
今回は時間の関係で中には入れませんでしたが、ここからはサマルカンドの旧市街を一望できるのだそうです。夕方に来たらきっと良いでしょうね。次回はぜひこちらも!
陸橋から見える景色はこんな感じ!空が広い!
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