なぜこんなにウズベキスタンを好きになってしまったのか、考えてみたら理由が次々に思い浮かびます。友人たちにも「ウズベキスタンどうだった?」と聞かれ続けているのですが、せっかくの機会なのでしっかりプレゼンできるようにせねばと、ウズベキスタンをお勧めしたい理由を私なりにまとめてみることにしました。公平性を期して、良いことだけではなく、良くなかったこと(と言ってもそんなにないですが…)も振り返ってみますね。
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ウズベキスタンのお勧めポイント
人が良い
まず、なんと言っても人の良さ!穏やかで親切な人が多く、対人面で嫌な思いをすることが皆無でした。フレンドリーな方が多かったのですが、かと言って(言語の問題もあるかもしれませんが)必要以上にこちらに踏み込んで来ることもなく、節度のある人懐っこさとでも言いましょうか…非常に心地の良い距離感でした。
さすがに都会のタシケントでは経験しませんでしたが、ブハラやサマルカンドでは、街角で夕涼みしているご老人が挨拶をしてくれたりするんですよ。にっこり笑ってご挨拶して通り過ぎるだけですが、これが実に心地良かったです。古来からシルクロード交易で栄えた場所なので、異文化や異人種に対して、フラットに接することができるのかな?とも思ったり。
今も現役の店舗として使用されているブハラのタキ。ドーム状の屋根がついた建物で、かつてはキャラバン隊の宿やバザールだったそう。
また、ウズベキスタンは若年人口の非常に多い国だそうで、どこに行っても子どもたちが元気に遊んでいました。みんな平たい顔族に興味津々なのか、小さい子はしょっちゅう手を振ってくれて、小学生から中学生ぐらいの子たちはちょっと照れながらHelloとご挨拶してくれるという、初めての体験をしました。みんな目がキラキラしていて、とっても可愛かったです。
あまりにもみんなが手を振ってくれるので、もしかしてこの国には私によく似た有名キャラクターでもいるのでは…と思うほどでしたが、現地のガイドさんに聞いたところ別にそんなことはなさそうでした。何にせよ、子どもや若者がたくさんいるというのは活気があって良いものですね。
昼間は暑いこともあり、夏休みはみんな遅い時間まで外で遊ぶようです。
大きなスーツケースを持っている人、ベビーカーを押している人などに対して、さっと手を差し伸べる人が多いのも印象的でした。子どもたちと違って、大人はニコニコ満面の笑みというわけではないんですが(逆に満面の笑みで近づいて来られる方が怖いです)、最後にニコッとして爽やかに立ち去る人が多かった気がします。
もちろん観光地に行けば客引きはありましたが、はっきりNOと断ればすんなり引き下がる人がほとんどで、しつこく絡まれることもありませんでした。
建築が素晴らしい
これは言わずもがなですが、実際に目にするイスラム建築の素晴らしさは、言葉や写真では到底伝えきれないほど。そんな美しい建築が当たり前のように生活の中に存在していることに、感動を覚えました。
地震のある国なので、過去には地震で崩れてしまった古い建物も多いそうですが、順次修復を進めているようです。実際に修復作業をしている職人さんの姿も多く見かけました。数年後に訪れたら、あちこちがもっと綺麗になっていそうです。
左のカラーン・ミナレット(塔)は1127年に作られ、チンギス・ハーン率いるモンゴル軍が来た時も破壊を免れたそうです。
ブハラやサマルカンドに古い建物が残る一方、首都タシケントには旧ソ連の影響を感じさせる近現代の建物が多く、これもまた非常に見応えがありました。写真を撮りたくなるような景色が多く、ついつい足が止まります。
治安が良い
治安も非常に良かったです。当然、最低限の注意は必要だと思いますが、夜道を1人で歩く女性や子どもの姿もたくさん見かけ、日本と同等か、それ以上に安全な感じがしました。一人旅と思しき女性を目にする機会も多かったのですが、確かにここなら1人でもそれほど警戒しすぎずに旅行できそうです。
街灯が少なく、かなり暗い裏通りなどもありますが、そういうところにはツーリストポリスが立っていたりしました。個人的に街の清潔さと治安には相関関係があると思っているのですが、今回訪れたところはどこも丁寧に掃除され手入れされており、その点も安心感に繋がっていました。落書きも殆ど見かけませんでした。
もちろん我々が今回行かなかっただけで、中には危険なエリアなどもあるのかもしれませんが、少なくとも観光地周辺に滞在するのであれば、心配しすぎる必要はなさそうです。
街歩きが楽しい
上記の3点にも繋がる話ですが、人も良く街並みも美しく治安も良いので、街歩きが大変快適です。
街中には街路樹や公園がたくさんあり、木陰が多いので暑い日も思いのほか快適でした。やはり緑の力は絶大です。日本ももっと都市部を緑化するべきじゃないかな?
夏は暑いと聞いていたので心配していましたが、 昼間は40℃近くあるものの、乾燥しているので汗をかいてもすぐにさらっと乾きます。日差しはもちろん強烈ですが、日が沈めば気温32〜33℃ぐらいでも、全然暑く感じなくなり驚きました。この暑がりの私が、32℃の中を歩いても汗をかかないなんて…全部湿気のせいだったんだな…?さすがに午後の一番暑い時間は避けましたが、夏でも午前中と夕方以降であれば、存分に街歩きを楽しめると思いました。
お野菜と果物、ラムが美味しい
何に驚いたかって、お野菜と果物の美味しさです。最初の朝ごはんで、まず一口目にびっくりして夫と顔を見合わせました。こんなにみずみずしく、味の濃いきゅうりとトマトがこの世に存在するなんて…!
私は生野菜より温野菜派なのですが、ウズベキスタンのお野菜があまりに美味しいので、毎食サラダをもりもり食べました。味付けは薄めなものが多かったのですが、お肉と合わせて食べるとちょうど良い箸休めになります。
聞けばウズベキスタンの農産物は殆どオーガニックとのこと。乾燥して暑い場所だから、水分をギュッと閉じ込めたお野菜や果物になるのでしょうか。ジャガイモや玉ねぎ、茄子なども身がしっかりしており、5時間ほど煮込んでも全然煮崩れないのだそうです。不思議。
バザールに並ぶトマトも、まるで絵のように赤くて大きくて、もう見るからに美味しそう。
お野菜や果物だけでなく、ラムもとても美味しかったです。あまりにフレッシュで美味しいので、毎日のように食べていました。お肉は牛と羊が多く、たまに鶏肉も見かけました。イスラム教の国なので、豚肉のお料理は全く見かけませんでした。
意外と英語が通じる
今回の訪問にあたって、少し心配していたのが言語のことでした。ウズベキスタンの公用語はウズベク語。また、旧ソ連の国家ということもあり、英語よりロシア語の方が通じると聞いていました。ウズベク語はもちろんのこと、私はロシア語も全くできません。
事前にちょっとロシア語をかじってみようかとも思いましたが、本屋さんでテキストをチラ見し、あまりの難解さに早々に断念。大学生の時、マルチリンガルの先輩が「ロシア語だけはあかん、あれは恐怖の言語」と言っていたことを思い出しました。というわけで、とりあえず自動翻訳を頼ることに。
しかし、結果的には行き先のどこでもほぼ英語で何とかなりました。例えば歴史や文化、政治など複雑な話がしたいという場合は難しいと思いますが、基本的な旅行会話であれば、どこに行っても困ることはありませんでした。というか、みんな親切なので、英語があまり喋れなかったとしても何とかなるような…?
ただ、観光地以外では英語表記はかなり少なく、圧倒的にロシア語が優勢です。上の写真はタシケントの地下鉄出口の案内ですが、ウズベク語とロシア語表記しかないのをご覧いただけますでしょうか。しかし、落ち着いてよく見れば行き先は何となくわかりますし、駅であればホームに必ず駅員さんが何人かいるので、質問すれば親切に答えてもらえると思います。
たまたまかもしれませんが、特にタシケントでは、レストランやカフェのメニューなどもロシア語のみのところが結構ありました。これはもう、翻訳ソフトでどうにか対応。みんなのんびりしていて急かされるようなこともないので、じっくり見て確認するのが良いと思います。
街中の移動が便利
都市間の移動はちょっと大変ですが(後述します)、一度街中に出てしまえば、その後はかなり移動しやすい国でした。
Yandex Goという配車アプリがあり、簡単にタクシーの手配が可能です。タクシー料金も安い*1ので、気軽に利用できて良かったです。タシケントには地下鉄があり、切符を購入することなくVISAタッチで乗れたので、これもまた便利でした。もし切符を買う場合でも、何駅乗っても単一料金なのでわかりやすいと思います。
今回訪問した3都市で言うと、ブハラに関しては主要エリアを徒歩で回れるサイズ感。サマルカンドはブハラよりは大きな都市ですが、こちらもまた主要な見どころが固まっているエリアがあるので、ある程度は徒歩だけで回れます。
物価が安い
ありがたいことに物価がかなり安い国なので、頭の中で値段を計算して密かに青ざめるようなことが皆無でした。物価の感覚としては、ざっくりですが食べ物や飲み物は日本のちょうど半額ぐらい*2、交通費は日本の4〜5分の1*3のイメージかと思います。
ホテルも、1泊2万円ぐらい出せばかなり豪華なところに泊まれます。色々な方たちの旅行記を拝見していると5000円未満のB&Bなどでも清潔できちんとしたところが多かったので、出費を抑えようと思えばもっと安いところでも全然問題なさそうです。
お土産に関しては、やはり良いものはそれなりの値段です。器や布など、質が高いものは高いなりの価格ですが、それでも日本で買うよりは安いかと。ドライフルーツやナッツなどの名産品はかなり安いと思います。
お酒が飲める
私はお酒を飲まないので、そもそもこの点は全く気にしないのですが、お酒好きな夫からすると「イスラム教の国なのに美味しいお酒が飲める」というのは、かなり嬉しかったようです。クラフトビールのお店やワインの醸造所などもあり、意外にも豊かなお酒文化があるようです。このあたりはやはり、旧ソ連の影響があるのかもしれません。
ビールは左のノンフィルターのものが一番美味しかったそうです。
日本から行きやすい
便数は少ないですが、実はウズベキスタンのタシケントまでは、成田空港から直行便が出ています。また、ウズベキスタンには韓国企業が多く進出しているそうで、アシアナ航空や大韓航空の便は豊富にあります。ソウルからは8時間程度、時差も4時間なので、あまり負担なく移動ができるのも良いところだと感じました。
大阪在住の我々からすると、成田に行くのもソウルに行くのも変わらないので、今回はソウル経由の便を選択。帰りには乗り換えの時間をしっかり確保して、ソウル市内でごはんを食べて帰ってきました。おかげで1回で2度美味しい旅になりました!
イマイチなところ
どんな国であっても、何もかもが完璧ということはないかと思います。次はウズベキスタンに関して、個人的に少し残念だった点を挙げてみます。しかしこれもまた旅の楽しみや面白さとも言えるので、大きな問題にはならないレベルかと思います。「敢えて挙げるなら…」ぐらいの内容です。
鉄道の予約が大変
タシケント-サマルカンド-ブハラ間は、アフラシャブ号という特急電車で移動します。もっと時間のかかる寝台列車などもありますが、今回は時間優先で全ての区間をアフラシャブ号で予約しました。予約はウズベキスタン鉄道のホームページから可能です。
アフラシャブ号はスペインのタルゴという列車だそうです。
この予約がちょっと面倒でした。まず電車の本数が少ないため、45日前の販売開始と同時に、結構な数の座席がソールドアウトになってしまうんです。色々調べてみると、どうやら旅行会社などが事前に大量の席を抑えてしまうからだそう。また、私が購入しようとしたタイミングでは大規模なシステム障害が起こっており、あらゆる列車のチケットが買えない状態が数日間続きました。
というわけで、暇を見つけてはホームページやアプリをチェックすること数日、突然購入可能になった数席を見つけた時に速やかに購入しました。すぐに購入できなくても、旅行会社が何席かまとめてキャンセルをするタイミングを狙えば良いようです。
決済は日本のカードでスムーズにできましたが、これも人によってはなぜかエラーになったり、決済画面が突然英語からロシア語に切り替わったりすることがあるようなので、根気よく試す方が良さそうです。
代理店に予約をお願いすることも可能でしたが、見積もりを取ったところ、自分で購入する場合の倍以上の価格でした。自分でもできることに対して余分なお金を払いたくないのと、これもまた経験なので私は自分で予約することにしましたが、心配な方や時間をかけたくない方は、そのまま代理店にお願いしてしまうのも良さそうです。時は金なりという言葉もありますからね。
買い物は交渉
バザールや個人のお店では、お買い物は価格交渉をするのが基本です。こういうのが好きな人もいると思いますが、私はちょっと面倒だと思う方で、バザールではほぼ言い値で買いました。とはいえ、どこで買ってもそれほど大きな価格差はありませんでしたので、そもそも法外な額を吹っかけてくるような人が少なかった気がします。
お皿など大きなお買い物に関してはもうちょっと交渉すれば良かったかなという後悔がありますが、気に入った物を買えたので良しとします…
料理のバリエーションは多くない
素材の美味しさは前述の通りですが、料理のバリエーションはそれほど多くありません。よく見かけたのはシャシリク(串焼き)、プロフ(ピラフ)、ラグマン(トマトスープに入った麺)、サムサ(肉や玉ねぎの入ったパイ)など。どこに行ってもたっぷり出てくるのはサラダやナン(窯で焼いた丸いパン)です。
焼きたてのシャシリクはどこで食べても美味しい!
和食と比べれば油の使用量も多いので、人によっては重たく感じることがあるかもしれません。温かいお茶と一緒に食べて油を流すのがポイントのようです。お肉の付け合わせには必ず酢玉ねぎが出てきたのですが、こちらも消化を助けてくれそうです。やはり現地の人が食べているように食べるのが良いですね。
また、前述の通り韓国系の人が多いので、韓国料理店はよく見かけました。ウズベキスタン料理のローテーションにちょっと飽きてきた時や、辛いもの、豚肉が食べたくなった時には、韓国料理を選択するのも良さそうです。私たちも滞在中に一度お世話になりました。
トイレットペーパーが硬い
これは繊細な人は気になるかもしれません。大衆的なお店に入ったりすると、ゴワゴワした和紙のようなトイレットペーパーが置いてあるところが大半でした。また、こういうところでは原則紙は流せません。とはいえ、そういう国は結構ありますから、個人的には気になるというほどではありませんでした。
トイレットペーパーに関しては、ちょっと良いホテルやレストランであれば柔らかめのものが用意されており、個人的には気になりませんでしたが、そうは言っても日本よりは硬い紙のところが殆どだと思います。夫は日本から持参したトイレットペーパーを使っていました。このあたりの感じ方は個人差が大きいような気がします。
お釣りが返って来ないことがある
これも、気になる人がいるかもしれないポイントです。元々ウズベキスタンでは、5000スム(60円弱)ぐらいまでのお釣りは返しても返さなくても良いという風潮があったようです。小さい額にケチケチするのはみっともないという考え方があるのだとか。1000スム以下の場合硬貨になるのですが、硬貨を持ちたくない主義の人も結構いるようで、それも原因の一つかもしれません。
しかし最近では多少この傾向にも変化が出てきたそうで、1000スム単位のお釣りは返してもらえることが多かったです。とはいえ、特に午前中のタクシーだと5000スムぐらいの金額については「お釣りがない」と言われることも時折ありました。そもそものタクシー代が非常に安いですし、数十円のことなのでまあ良いかと思っていましたが、気になる人はなるべく細かい紙幣を準備しておくほうが良いと思います。
こんな人にウズベキスタンをお勧めしたい!
美しいイスラム建築を見たい人・歴史が好きな人
これはもう、断然お勧めです。まず建築については、同じようなモスクを見続けたら飽きるのでは?などと思っていましたが、それぞれに個性があり素晴らしい建築ばかりなので、全く飽きることがありませんでした。本当ならもっと時間をかけて見て回りたかったぐらいです。タイルなどの工芸品も美しいです。
歴史が好きな人も、ここに来たらきっと大興奮だと思います。世界史の授業で学んだ、あの地がここ!と、何とも言えぬ感慨がありました。騎馬隊で西の端ブハラまで到達し、この地を蹂躙していったチンギス・ハーン、やっぱりどうかしてるよ…と、その狂気と勢いを体感することもできます。
気を張りすぎずに観光したい人
人が優しく治安も良いので、本当にリラックスして過ごせます。世界には様々な名所がありますが、人が多すぎてスリに気をつけなければいけなかったり、あるいはアクセスが悪くて時間がかかったりで、一度行けばもういいや…となることって、結構あると思うんです。その点、ウズベキスタンは気楽に歩いて主要な観光地を回れます。お気軽に良いものをたくさん見られる場所なのがとても良いです。
一人旅が好きな人
治安が良いので、男性はもちろんのこと、女性の一人旅でもかなり安心な国だと思います(とは言え、もちろん最低限の注意はしてくださいね)。プロフやシャシリク、ラグマンなど、1人分でも頼みやすい料理が多いので、食事に困ることもなさそうです。
程よい予算で異文化圏を体験してみたい人
大金持ちなら良いのですが、円安の今、東アジアとは大きく異なる文化圏、例えばヨーロッパなどに行こうとすると、どうしても予算の問題が出てきますよね。そうは言っても、よく知っている東アジアからは出てみたい!という時、ウズベキスタンはかなりお勧めできる旅行先だと思いました。
もちろん東アジア圏を旅行する時よりは多めの日数と予算が必要になるかと思いますが、物価が安く、でも清潔で安全で、何より普段とは全く違う文化圏を体験できます。移動の負担も軽めなので、初めてちょっと遠い国に行ってみたいという人にもお勧めです。
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