ブルス・ドゥ・コメルスで現代アートを堪能してから向かったのは、パリ装飾美術館です。ここはモードやテキスタイルに特化した美術館で、ルーヴル美術館の一角にあります。
便利な場所ゆえ、これまでは「いつでも行けるし、ルーヴルの帰りにでも…」などと思っていたのですが、結局ルーヴル美術館だけでへとへとになってたどり着けなくなるパターンを繰り返しており、今回ようやく初訪問することができました。
実は今回行った2つの美術館は、いずれもアート関係の仕事をしている知人のお勧めでした。パリには素晴らしい美術館がたくさんありますが、自分で選ぶとついつい好みが偏ってしまうので、こうして誰かのお勧めで新しいものを見てみるのはとても良かったです。
ブルス・ドゥ・コメルスからパリ装飾美術館のあるルーヴル宮の一角までは、徒歩圏内です。ルーヴルに近づくにつれてどんどん人が多くなりますね。
ルーヴルならいざ知らず、装飾美術館で並ぶことはないだろうと思っていましたが、甘かったです。結構な人が並んでおり、入場するまで30分ほど待ちました。
こちらは残念ながらKlookではチケットの取扱いがありませんが、公式サイトから入場の予約とチケット購入ができるようなので、事前に買っておくほうが良さそうです。
パリオリンピックを控えているからか、この日の企画展は「モードとスポーツ」がテーマでした。スポーツという概念の誕生から始まり、スポーツウェアの進化の様子がよくわかる企画展でした。
その昔はいかにも窮屈で動きづらそうだった女性のスポーツウェアが次第に軽快になっていく様子も見てとれて、女性の解放という観点からも面白かったです。
オリンピックに関する展示も多く、亀倉雄策による1964年の東京オリンピックのポスターもありました。この頃の日本のグラフィックデザイン、今見てもセンスが良いなと思います。
様々な衣装の実物が展示されているのが圧巻です。
この上空を飛んでいる(?)衣装は何かわかりませんでした。何だったんだろう…
右のこのウェアは女子テニス界のレジェンド、セリーナ・ウィリアムスのものですね。ちゃんと彼女のフォームだとわかるマネキンが用意されていてすごいです。
装飾美術館というだけあり、企画展以外の場所には大量の骨董品や家具、工芸品が展示されています。非常に見応えがあるので、こういったものに興味がある人ならここで一日過ごせると思います。
ルーブル宮の一部だけあって、建物自体も素敵です。右のこの方は、夜には出会いたくない悪そうな顔をしていますね。
広い美術館の一角で、なんと日本の昔の写真を集めた企画展がやっていました。
その名もLe Japon en couleurs、英語にするとJapan in colorsですね。その名の通り、19世紀の日本の風景を写した写真をカラー化してありました。
彩色された写真はこんな感じです。田園風景や人々の暮らしぶりが生き生きと写し出されており、まさかこんなところで日本の過去に出会うなんて…と驚きました。
大阪城の写真もありました。この写真はモノクロのままですが、お城周辺のお堀の雰囲気は今とあまり変わりませんね。
どの方角から撮られた写真か分かりませんが、周りに建物がないので向こうの山がよく見えます。
難波の観光地、戎橋の写真もありました。今の賑わいの原型がこれなのだと思うと、なんだか不思議な感じです。
同じように写真を眺めているフランス人の皆さんに「これ、私の家の近所なんだけど」と話しかけそうになりましたが、皆さんそれぞれに集中している雰囲気だったので自制しました。
そうそう、こちらの展示に向かうのにエレベーターに乗ったのですが、どうも調子が悪くおかしな挙動を繰り返すエレベーターに対し、一緒に乗っていたフランス人の職員の方が「これがフランスだよ、日本ではそんなことないでしょ?」と肩をすくめていました。
日本なら職員さんが我々に対してお詫びしそうなところ、大して気に留める様子がないその様子こそが「これがフランス」だと私は思いました。
日本人はある集団の中に入るとその集団の代表として自覚的に振る舞う傾向が強いと思いますが、フランス人はどこまで行っても「個」という感じですもんね。別にどちらが良いとか悪いとかいう話ではなく、このマインドの違いが面白いなと思ってにやにやしてしまいました。
2つの異なるタイプの美術館を堪能できて、なかなか充実したパリ観光ができました。パリには素敵な美術館がたくさんあるので、本当はもっと滞在してゆっくりあちこち見てまわりたいものです。問題は物価だな〜!(心の声)
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