カフェキツネで朝ごはんを食べて、パレ・ロワイヤルとパッサージュを抜けて向かったのは、2021年5月にオープンしたばかりの現代美術館、「ブルス・ドゥ・コメルス Bourse de Commerce」です。
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ブルス・ドゥ・コメルスは、フランスの億万長者で美術コレクターであるフランソワ・ピノーの私設美術館(!)で、改装は安藤忠雄の手によるもの。ちなみにピノー氏、ヴェネツィアにも美術館をお持ちだそうで…スケールが違いますね。
ブルス・ドゥ・コメルス
さて、建物が見えて参りました!この建物は元々、1763年に穀物貯蔵庫として建てられ、1889年以降は証券取引所として使用されてきたそうです。穀物を貯蔵するにしては、ずいぶん優雅な建物ですよね。
チケット売り場は右手に見える別の建物でした。入館料は大人€14です。18〜26歳の方は、会員(入会無料)になると16時以降は無料で入館できるそうで、このあたりがさすがフランスですね。
通常のチケットはKlookで事前購入することもできました。日によってはチケット売り場も混雑するようなので、事前に買っておくと安心かもしれません。
中に入るとすぐにロッカーもあり、大きな荷物は預けることができます。
円形の建物の真ん中に、いかにも安藤忠雄らしいコンクリートの円筒が収まっている形で、この円の中も展示室になっています。
円筒形のドームはパリ万博の際に作られたものだそう。鳩のオブジェたちもアート作品ですが、妙にリアルなので最初は「え、鳩!?」とびっくりしました。
様々な年代のものが共存している空間ですが、不思議につぎはぎ感はなく、あるものがあるべき場所に収まっているような落ち着きがあります。
ガラスのドームから光が差し込んで、美しいです。
この日開催されていたのは、アメリカの現代美術家、マイク・ケリーの「ゴースト・アンド・スピリット」展でした。
これはカンドールシリーズと言って、スーパーマンの故郷をモチーフにした作品たちです。なんだか近未来感のある作品たちですが、同時にどこか寂しさを感じます。
アートフィルムが延々とループ再生される展示もありました。だんだんマイク・ケリーの脳内にお邪魔しているような気分になってきます。
地下には大きなシアタースペースもありました。ここで流れていたアートフィルムもなかなかおかしな仕上がりで、子供が見たら夜泣きしそうな作品でした。
でもこれを奇妙だと思うのは、私の心が凝り固まっているしるしかもしれない、などと思いました。これが現代アートか…
建物は隅々まで美しく改装されています。曲線の美です。この建物を見に来るだけでも価値がある美術館だと思いました。
マイク・ケリーの他に、MIRA SCHOR(ミラ・ショア)やLEE LOZANO(リー・ロザーノ)といった女性アーティストの作品も。
この方々の作品はメッセージが非常に明快で、とても共感できるところがありました。特にリー・ロザーノは権力と不平等に怒っているのが明確に伝わってきて、わかる、わかるぞ…となりました。
「この壁を私の肘で押し除けてやりたい」。
こちらも良いですね。彼女の作品はなかなか強烈でしたが、清々しさがあって素敵でした。
ミュージアムショップには安藤忠雄の著書や解説書はもちろんのこと、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」もありました。
以前からヨーロッパに来るたび、アート好きな人からは「陰翳礼讃」を読んで感銘を受けた、などと聞くことがありました。今でも読み継がれているのですね。日本人の私が読んでいないのは恥ずかしいなと思いつつ、結局まだ読んでいません。そろそろ重い腰を上げて取り掛かってみましょうかね…?
そうそう、この美術館の最上階には、Halle aux Grains(アール・オ・グラン)というレストランも入っています。
フランスを代表するシェフであるミシェル&フランソワ・ブラス親子が手がけるレストランだそうで、こちらもとても好評なようです。次回はここでパリの街並みを見渡しながらお食事するのも良いなと思いました。予約は公式ホームページからできるようです。
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