ずいぶん時間が経ってしまいましたが、年末年始はフランスとスペインに行ってきました。
フランスは4年ぶり、スペインは恐らく6年ぶりです。ずいぶん間が空いてしまったので、わくわく半分、怯え(?)半分で向かいます。フライト時間はおよそ15時間…耐えられるかな?しかし、きっと行けばなんとかなるだろう。
フライトの話はとりあえずすっ飛ばしまして、早朝にシャルル・ド・ゴール空港に到着です!お久しぶり、古いけど近未来的な第1ターミナルよ!着いた瞬間から、フランスのにおいがします。
▼フライトの記事も書きました!
無事に出てきたスーツケースをピックアップして、スタコラサッサとレンタカーの受付へ。
「CUPRAとアウディどっちがいい?私としては絶対にCUPRAがお勧め!」というお姉さんの言葉に従い、今回はCUPRAというメーカーの車を借りてみました。この先、約1週間この車のお世話になります。
彼女が言うには「これはスペインのレクサスみたいなもの、設備も全部最新だから」とのことでしたが、乗ってみて納得。確かに隅々まで高級感があり、乗り心地も快適でした。
シートがレザーだったので、トコちゃん(トコジラミ)が生息する余地がなさそうなところも安心ポイント。ちょうど出発する少し前に、パリにお住まいの方が「レンタカーのファブリックシートに『奴』がいました」と仰っていたのを見てしまい、これは油断対敵…と思っていたところだったのです。
まずは最初の目的地、シャンボール城に向かってひたすら走ります。初日はシャンボール城を見学して、その後近くのオーベルジュに向かう予定。
途中1回のコーヒー休憩を挟んで、お城の近くまでやってきました。お城に近づいても、周りには本当に何もありません。それもそのはず、シャンボール城公園は全長32キロ(!)の壁に囲まれた、ヨーロッパ最大の「囲いのある公園」なのだそうです。こういう森の景色、ディズニー映画で観たことがあるぞ…
しかし、お城の近くの広大な駐車場まで辿り着いたら、なんとほぼ満車。かの有名なシャンボール城が見えてきて、テンションが上がります!
シャンボール城は、フランソワ1世のために建設され、レオナルド・ダ・ヴィンチの構想によるものとされており、ロワール渓谷内の城のうちでも、最大の規模と威容を誇る城です。フランスのルネッサンスの代表建築であるとともに、芸術と文学をこよなく愛した支配者の権力の象徴でもありました。
そう、ロワールの古城と言えば、ここシャンボール城と、あとはシュノンソー城などが真っ先に挙げられるのではないでしょうか。このあたり一帯は 「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」として、世界遺産にも登録されていますね。
シャンボール城は実写版の美女と野獣のお城のモデルにもなったそうです。フレンチ・ルネッサンス様式の最高傑作とも言われており、2000年までは単独で世界遺産として登録されていました。
なお、ロワールの古城は車がないとなかなか行きづらい場所にあることが多いので、国際免許をお持ちでなかったり、海外で運転はちょっと…と言う方は、パリ発の日帰りツアーなどを利用すると良いと思います。私もかつてパリからモン・サン・ミッシェルまで日帰りツアーで行ったことがありますが、バスに乗って帰ってくるだけなので大変気楽で良かったです。
お城の周りにはいくつかのレストランやワイン屋さん、ホテル、村役場などが集まっています。どのレストランも大混雑でしたが、比較的空いていたこちらに入ることにしました。
La Cave des Rois、王の酒蔵ですね。カジュアルなビストロで、大混雑でしたがお店の方たちがテキパキしていてみんな感じよく、気持ちよくお食事できました。
晩ご飯のことも考えて、あまり重くないものにしよう…と思い、チキンのローストにしました。この大量のフレンチフライに、異国を感じます。
お腹がいっぱいになったので、いよいよお城へ。
入るのにも行列しているのを見て、並びながら慌ててオンラインでチケットを購入。チケットは印刷して持っている人が多数派でしたが、幸いスクリーンショットでも入れてもらえました。あとから確認したところ、Klookでも事前にチケットを購入できたようです。特に週末に行く場合は、先に買っておく方が安心ですね。
門を潜って、やっと入城です!立派な日本語パンフレットをいただけました。ありがたいですね。
まずは記念撮影。
中に入ると、フクロウを連れたムッシューが何か熱心に説明してくれていました。あまりわからなかったので(それはそう)フクロウにご挨拶して、次の場所へ。
お城の真ん中には大きな螺旋階段があります。この階段はレオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けたと言われているそうで、二重螺旋になっています。二重になっているので、人と人とがすれ違うことなく上り下りが出来るそうですが、この日は混み合っていたので実験してみる余裕はありませんでした。
日本以外の国は、私が知る限り大体どこも年明けまでクリスマスツリーが出ていますね。キリスト教の国では、1月6日の公現祭の後に片付けることが多いそうです。
このお城、部屋数は400室以上あり、282個の暖炉があるそうですが、大きすぎて暖房が行き届かず寒いので、結局フランソワ1世が滞在したのはわずか7週間なのだとか…その上周囲に何もないので、お城に来るときには2000人分の食料を運び込む必要もあったそうで、なんというか、いくら王様の肝煎りとはいえ、無計画すぎません…?フランソワ1世、無駄遣いのスケールが段違いです。
建物自体は、どこを切り取っても優美ですよ。
週末でファミリーが多いからか、剣術教室も開催されていました。
上から見下ろしてみたら、中庭にたくさん人が集まっていました。何に集まってたんだろう…
とにかく広くて天井も高いので、寒いのも納得。王様といえ、この寒さはどうにもできなかったのでしょう。
意外と簡素な雰囲気の場所ももちろんあります。
こうして建物の細部を眺めていると、実にLEGOの世界なんですよね…アジア育ちの私からすれば「LEGOで作っていたものを実際に見た」という感覚ですが、ヨーロッパ育ちの人からすれば「普段見ているものをLEGOで作る」という感覚なんでしょうね。
このお城はフランソワ1世の栄光を讃えるためのものなので、お城の至る所にF印が入っています。そんなにそこら中に自分のイニシャルを入れちゃって、それってどんな気分?と思いましたが、私だってもし王様だったらそこかしこに自分のイニシャルを入れるぞ!と張り切っていたのかもしれません。王様ってそういうものかも…という、フランソワへの歩み寄り。Fと同じぐらいそこら中にいるのは、サラマンダー(火とかげ)だそうです。
お庭もとにかく広く、上から見ると人がまるで蟻のようです。
こういう西洋の幾何学的な庭園や、天を突き刺すような尖塔を見ると、彼らの「我々は自然を支配できるのだ」という強い信念をひしひしと感じます。自然災害の多い日本からやって来た私からすると、ふーんそれはちょっと不遜なんじゃないの…などと思ってしまうところがあるんですよね。
お城の中には、狩猟に関する展示もあったのですが、そこからもまた「人間は万物のトップに立ってますからね」と言いたげな気配を感じて、え〜でも人間って愚かじゃない!?と言いたくなったりしました。別にどっちが正しいとかどっちが良いとかではありませんが、こういうところに来ると「私ってやっぱり、自然の恵みも恐ろしさも感じる日本で、自然を畏怖しながら育った人間なのだわ…」と思わずにはいられません。
実はこのシャンボール城、第二次世界大戦中にはルーヴル美術館やヴェルサイユ宮殿の美術品の避難所にもなったそうです。さまざまな人たちの尽力ぶりが、デジタルメディアでも展示されていました。こういうところは、やはりさすが芸術を愛する国ならではという感じがします。
そしてお城の周辺、見渡す限り本当に何もないんです。フランソワ1世の話に戻りますが、ここに来るために食料やら分解式家具やらを大量に運んでやってきたご一行のことを思うと、大変だったね…と慰めの声をかけたくなります。
排水設備にこういう生き物を使うのは、万国共通ですね。
裏側に回っても、やはりとても巨大で立派なお城であることがわかります。お天気が今ひとつだったのが残念でした。いつか快晴の日にもまた行ってみたいな。
日が暮れてきたので、宿泊先のオーベルジュへ。日暮が早め!日本よりかなり北に来たことを感じます。
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